環境活動レポート
【獨協大学】犬井ゼミ 稲刈り~脱穀~芋煮会(2014/02/03)
記者:須田
今回は、獨協大学犬井ゼミの稲刈り~芋煮会を取材します。
~9月28日~
以前、このGREENWORKSで6月2日に取材した田植えの稲が、大きく実り、稲刈りを迎えるということで伺いました。
田んぼに向かってみると・・・
おっ!田植えの時に引き続き、今回も近所の園児がたくさん。
園児も田植え・稲刈りという貴重な体験に参加しているようです。
田んぼでは、すでにゼミ生と大竹先生によって、柵や鳥よけ、カカシが取り除かれ、すぐに稲刈りが開始できる状況。
近くには荷車があり、中には鎌など道具がたくさんあります。
田植えの時に使用していた耕運機といい、犬井ゼミにはフィールドワークするための道具が非常に充実しています。
さて、いよいよ稲刈り開始。
様々な部署の職員の方や、近くを通りかかった学生、巡回していた警備員さんも立ち止まって様子を見ています。
なんだか田植えの時より田の周りにいる人数が多いような気がします。ざっと数えると、職員方々が常に15人程いらっしゃって、学生が3,40人ほどいます。
大学中心にある中庭という立地であることで、多くの目に触れ多くの関心を引いたのでしょう。
田植えに参加していたゼミ生の「僕たちの活動で、食への関心が低い若者世代である学生に、食の安全性や、口に入る食糧の生産過程、生産の大変さを、キャンパス内で活動をすることで、伝えていきたい。」という言葉を思い出します。
刈られた稲は田の横にどんどん山積みになっていきます。
これらを、水分を飛ばすためにかさがけするそうです。
長いプラスチックの杭で組まれた骨組みに、束にした稲をかぶせていきます。
それにしても大量です。こんなにたくさん、用意した骨組みに掛けきるのだろうかと思っていたら・・・やっぱりかけきらないようです。
北崎先生にお話を伺ってみると、今年は夏の暑さに加えて、スズメ対策をしっかり行ったこともあって、昨年より豊作だそうです。
知らなかったのですが、稲は本当によく育つと、穂先だけでなく、根本のほうにもお米が実るそうで、今年はそこまで実ったのもあり、ボリュームがあるということです。
掛けられなかった稲は、環境共生研究所のベランダで乾すそうです。
最後に稲にネットをかけて稲刈りは終了。
豊作なので、芋煮会が大変盛り上がりそうです。
稲刈りの途中に、今回の活動について犬井学長にお話をうかがいました。
※どうして水田を、あえて中庭に作ったのでしょうか。
犬井学長
もともと、この大学全体は「さんちょう田」といい、広い水田でした。その水田と沼地・池地を埋め立てて大学をつくりました。もともとの生態系をつぶして今の大学があるのです。
それをいま、少しでも当時の状態に戻そうと試みています。この中庭ができてからは、カエルや水蟷螂などいろんな生物がだんだんこの土地に戻ってきています。生態系という点では昔から比べると今はまだほんの少しではあるのですが、少しずつでも元の生態系に復元していきたいのです。
授業の中ではこの水田を通して、食の大切さを学んでもらいたいです。また、話題のTPPをからめながら、農業をただの職業と見るのではなく、自分たちの身近に考えられるようになってほしいと思っています。
* ゼミで行うのはなぜでしょうか。
犬井学長:学生が単位として集まれるのがゼミの人数がちょうど良いです。私の経済地理学という授業では、一般の学生を含めてフィールドワークを交えて、「食と農業と環境」についての話もしています。
※ 犬井先生が学長になられて、ゼミがなくなってしまうという話をお聞きしましたが本当ですか。
犬井学長:今の経済学科でのゼミの2,3,4年生については北崎先生にお願いしています。来年から募集する国際環境経済学科の2年生については、私が担当し、3,4年生になったら北崎先生にまたお願いしようと思っています。
※ この水田はずっと残ってほしいですね。
犬井学長:この水田は私が退職した後も変わらず続けられるようにしていきたいと考えています。
僕も在学時には犬井先生の授業を受けたことがありますが、当時は中庭も水田もありませんでした。田植えや、生態系の再生など、学長のお話を直に聞き、学内でのフィールドワークを通して学べるのは、とてもうらやましくおもいました。
~10月18日~
刈り取った稲を脱穀します。
正確に言うと、脱穀の前半作業を行います。
中庭には、すでに脱穀の準備がされ、ビニールが2枚離れて敷かれています。
1枚のシートの上には、大きなチリトリと、振るいがあります。
そして初めて現物を見ますが、もう1枚の上には3台の千把扱き(せんばこき)が・・・
初めて見る千把扱きに心躍ります。
やってみたい!!!
しかし、そんなことは言い出せず、写真を撮ることに専念します。
脱穀作業開始。
昨年も経験した学生なのでしょうか。
手馴れた様子で千把扱きを使います。
稲穂の部分を、器具の歯に引っ掛け、引き抜く・・・
ブチブチブチと籾米(もみごめ)が取れておちます。
すごく面白そう!!!
文系大学で千把扱きを持っている大学がどれほどあるのでしょう。
入手元は古民具(こみんぐ)屋だそうです。
古民具屋で見つけたものの、壊れていたので大工さんに修理してもらったそうです。
その前までは、なんと牛乳パックで脱穀作業をしていたとのこと。今も千把扱きを使っている学生以外は、牛乳パックで脱穀しています。
使い方は、牛乳パックの口を前回に開いた中に、稲穂を入れ、口を閉じ、口を抑えたまま稲を引き抜きます。するとプチプチプチとたしかに籾米がとれています。
こんなやり方があるとは・・・
ただ、千把扱きを入手する前はすごく時間がかかったことでしょう。
千把扱きは偉大です。
徐々に籾米がたまってきたので、別のシートの上でふるいにかけて、籾米以外を取り除きます。
千把扱きにかけただけでは、細かい藁がくっついているなど、藁のカスまで籾米と一緒にたまってしまいます。
ふるいにかけ終えた籾米は、脱穀を行っている農家に脱穀機を使って籾殻を取り除き、玄米の状態までしてもらうそうです。
私は知らなかったのですが、時々見かけるコイン精米機では、籾殻を取り除くことはできないのです。
ありきたりな感想かもしれませんが、私たちの食べているお米ができるまでには、知らない過程が本当にたくさんあるのだと実感しました。
現代では、知識を簡単に手に入れることができますが、実際に体験して実感を得ることは、ただ単に知識を得るのとは訳が違います。犬井ゼミの学生は、いろんな食材に対し生産の過程を考えられるようになるきっかけを、手に入れているのだと感じました。
~11月15日(金)~
待ちに待った芋煮会。
私が取材に伺うと料理は終わっており、皆さんテーブルについて楽しそうに美味しそうに食べています。
おにぎり、コロッケ、豚汁。
どれもできたてて、ホカホカしていてとても美味しそう。
おにぎりは、もちろん今までずっと取材してきた獨協米です。
コロッケは2種類あって、一つは里芋、もう一つはサツマイモのコロッケ。
里芋は空中庭園で、ゼミの学生と、このGREEN WORKSでも取材させてもらっているDecoの皆さんで栽培し、サツマイモは環境共生研究所の脇にある4畳くらいのスペースで大竹先生が育てて、Decoの学生が掘り起こしたそうです。
お米はよく見ると、薄茶色をしています。玄米なのですね。
精米してしまうと、お米の持つ本来の旨味・高い栄養価が抜けてしまうので、玄米のまま炊いて、おにぎりにしました。
おにぎりの中には、キャンパス内で収穫した銀杏が入っています。
サツマイモに銀杏に豚汁・・・すごく季節感があっていいですね。
ものすごく食べたい衝動をこらえ、まずは取材
学生に話を聞いてみました。
* 田植えから稲刈り、脱穀、料理、食事と、食べるまでの過程を体験してみてどんなことを感じましたか。
学生:普通はできない経験ができて楽しかったし、私たちが普段食べている食材が食卓に ぶまでの大変さを実感することができました。あれだけ大変だったのにこれしか作れないのかとびっくりしました。作った料理もとても味わって食べています。貴重な体験ができたと思います。
* みんなは経済学部ですけど、こういう生産者の活動を体験してみて、農業という仕事についてみようと思いますか。
学生:楽しかったですが、大変さを知りました。私たちはゼミの一環でしかこの活動をしませんが、仕事として農業をするとなると、難しいかなと思います。ただ、私はそうだからこそ、生産者の方々は凄いなと感じます。私たち学生は普段座学しかしませんが実際に体験することで座学では学べないことを学べました。
結局私もおにぎり、コロッケ、それにふかし芋を頂きましたが、とても美味しかったです。
今までの取材をしてきて、学生が汗かき大変な思いをして作った作物をいただいているかと思うと余計美味しく感じます。
学生たちは、私が見て感じた以上に農業について多く感じることがあったでしょう。農業の苦労を知り、楽しさを知り、やりがいを知り、大学でゼミで学んだ知識と合せて吸収し、今後の仕事や、生活で生かして欲しいです。
私もこの取材を通して学んだことを生かして、まずは普段の食事で玄米ご飯を食べるようにします。
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